よくある質問


 

 

Q1 被害者参加制度とはどのようなものですか。

  一定の事件の被害者やご遺族等の方々が,刑事裁判に参加して,公判期日に出席したり,被告人質問などを行うことができるというものです。 なお,刑事裁判への参加を許可された被害者やご遺族等の方々は「被害者参加人」と呼ばれます。

 

Q2 誰が被害者参加制度を利用できるのですか。

  殺人,傷害などの故意の犯罪行為により人を死亡させたり傷つけた事件や,強姦・強制わいせつ,逮捕・監禁,自動車運転過失致死傷などの事件の被害者の方,被害者が亡くなった場合及びその心身に重大な故障がある場合におけるその 配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹などの方々です。

 

Q3 どのような手続で刑事裁判に参加するのですか。

  被害者やご遺族等の方々から,刑事裁判への参加について,事件を担当する検察官にお申し出ください。申出を受けた検察官は,被害者が刑事裁判に参加することに対する意見を付して裁判所に通知します。

 

Q4 希望すれば必ず刑事裁判に参加できますか。

  裁判所が,被告人又は弁護人の意見を聴き,犯罪の性質,被告人との関係その他の事情を考慮し,相当と判断して許可した場合には,被害者参加人として刑事裁判に参加できます。また,参加が許可されて被害者参加人となった場合でも,希望される手続によっては,参加が許可されない場合があります。

 

Q5 被害者参加人は刑事裁判でどのようなことができますか。

ア  原則として,公判期日に,法廷で,検察官席の隣などに着席し,裁判に出席することができます。  

 

イ  証拠調べの請求や論告・求刑などの検察官の訴訟活動に関して意見を述べたり,検察官に説明を求めることができます。  

 

ウ  情状に関する証人の供述の証明力を争うために必要な事項について,証人を尋問することができます。  

 

エ  意見を述べるために必要と認められる場合に,被告人に質問することができます。  

 

オ  証拠調べが終わった後,事実又は法律の適用について,法廷で意見を述べることができます。

 

要するに,刑事裁判に被害者が参加できるということです。被害者参加人は,刑事訴訟の当事者となるわけではありませんが,一定の限度で,訴訟行為を行うことができるのです。 さらに,被害者に資力が乏しい場合(財産が150万円もない場合)は,国が費用を出して,被害者が弁護士を指名して,その弁護士に被害者参加をサポートしてもらうこと(国選被害者参加弁護士)もできます。 被害者参加制度には限界や問題点もありますが,被告人(加害者)に対し,一 言,言いたいと思われる被害者は,被害者参加するべきです。

 

Q6 どのような場合に制度が利用できるのでしょうか?

 以下の犯罪の刑事事件の被害者本人、一般承継人(相続人)が利用することができます。

 

1. 殺人、傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪

 

2. 強制わいせつ、強姦などの罪

 

3. 逮捕及び監禁の罪

 

4. 略取、誘拐、人身売買の罪

 

5. 2~4の犯罪行為を含む他の犯罪

 

6. 1~5の未遂罪

 

※過失犯(業務上過失致死傷、重過失致死傷、自動車運転過失致死傷)は対象となりません。

 

Q7 制度を利用する場合の手続はどのようなものですか?

 対象となる刑事事件の弁論の終結時までに、事件が係属している地方裁判 所に対し、「損害賠償命令の申立て」を行います。申立書には、申立人(及び法定代理人)と被告人の氏名、請求の趣旨、訴因(審理の対象となっている起訴事実)、請求金額等を記載します。申立て手数料は、請求金額にかかわらず、 2,000円です。

 

Q8 刑事裁判に参加しないと、損害賠償命令制度は利用できないのでしょうか?

 上記に記載した被害者等であれば、刑事裁判への参加の有無を問わず、損害賠償命令を申し立てることができます。ただし、申立てができるのは、被害を 受けた事件について、検察官が起訴状を裁判所に提出してから弁論が終了するまでの間となります。

 

Q9 損害賠償命令の申立てをした事件について、刑事裁判で無罪判決が出た場合はどうなりますか?

 損害賠償命令の申立ては却下されます。この場合でも、改めて通常の民事訴訟を提起することはできます。

 

Q10 控訴審が行われている高等裁判所に、損害賠償命令の申立てをすることはできますか?

 できません。損害賠償命令の申立ては、地方裁判所に限られ、高等裁判所で審理される控訴審では申し立てることはできません。 結局,損害賠償命令は,被害者から見ると,普通に加害者に対し民事裁判(損害賠償請求訴訟)と提起するよりは,いちいち証拠を提出する手間が要らず,また,申立書に貼付する印紙代も民事訴訟の提起よりは安価であることから,便利で安上がりであるということです。さらに,刑事事件を審理し,事件の真相を詳しく知る裁判官が賠償額等を決めることも,被害者からすると手間がかからないということです。